ディバイソンの本来の仕様を考える

今回もディバイソンについて。
前回のコラムでは、ディバイソンは「当初は汎用性のある設計で計画されていた」と想像していた。
「当初の設計」とは具体的にいかなるものだったのだろう。
デスザウラー登場前に想定されていた「対デスザウラー戦能力はないが汎用性や拡張性はある」仕様。
これも考えてみたい。

これは月刊ゾイドグラフィックスvol.1付録冊子に載っているデザインスケッチから想像できる。
同冊子にはディバイソンの開発中のスケッチが多数載っている。

この中から気になるものを幾つかピックアップ。


こちらは背中に旋回砲がある。これは汎用性がありそうだ。
17門突撃砲部分も少し違う。
制式機は中央に「三連装×縦3つ」の砲が付いているが、その部分に砲がないように見える。

この状態は現在のディバイソンより出力が低い=極太パイプがない=拡張性がある状態だと思う。
このまま完成すれば汎用性があったのだろう。だが実際はデスザウラー対策で無理な向上をしたので実現しなかった。


これは完成版と随分違う。極初期の案だろうか。
ちょっと凄まじい感じがする。そしてこちらも旋回砲がある。

 

ディバイソンに旋回砲をつけるプランは古くからあり、ぜひとも採用したいものだったようだ。
しかしそれを捨ててまでああなるしかなかった。

ところで、ディバイソンは大陸間戦争ではロクに活躍できなかった。
何とかこの間も運用できなかったのだろうか。
既に述べたように、ディバイソンは山岳でも十分に動ける・しかも重パワーで決定力を持つ希有なゾイドだ。
うまく運用すれば大陸間戦争でも大活躍できていた筈だ。

私は、これを実現するなら対デスザウラー戦の能力を省く事が必要だと思った。
現在の仕様は対デスザウラー戦にむりやり対応させた状態だ。
基本的にゾイドとはノーマル状態が汎用性がある状態・改造ゾイドは単一目的に特化した仕様である。
が、ディバイソンはいわば本来は改造ゾイドである特化仕様がノーマルとして採用されたようなものだと思う。
それはもちろんデスザウラーが戦況をものすごく圧迫していた為。
その選択は正しかった。

デスザウラーの脅威が収束したのはマッドサンダーによってだ。
この時点で、共和国軍はディバイソンを本来の意味で言うノーマル状態に戻すべきだったと思う。
当初の計画のような設計で。

出力は低下、すなわち対デスザウラー戦では役に立たなくなった。
突撃してもデスザウラーは倒れない。だが既にマッドサンダーがいるから別に構わない。
また、出力が低下したといってもアイアンコングを倒す程度は維持している。
そして汎用性はある。
こうすれば、旋回砲を付ける等して新しい時代の戦いにも対応できたのではないか。

装甲もそれなりに強い。ディバイソンが「高速ゾイドを貫く程度の旋回砲」を持っていれば、ジーク・ドーベルなどの新鋭にも十分対抗できたと思う。
ある程度の被弾には装甲で耐える。敵の素早い動きにも旋回砲でしつこく撃つ。敵は高速機で装甲が薄いから一発でも当てれば勝てる。

キャノンビーム砲を積んでも良い。
こうすればデッド・ボーダーにも勝てたんじゃないだろうか。
キャノンビーム砲は中~長距離用の砲。重力砲を喰らう前にこちらから叩き込んでやればいい。

17門突撃砲はそのままでも換装してもどちらでも良いと思う。
理想的には射程を延ばした中口径程度の砲を付ければ良いと思う。
砲塔化してある程度の旋回性能も付加したい。

・ダーク・ホーンやアイアンコングに対抗できる程度のパワー
・暗黒大陸の地形でも良好に動ける機動力
・旋回砲を積んで全周囲の敵に対応

実に強力そうだ。デカいカノンフォートという気もするが。

マッドサンダー完成後、ディバイソンの近代改修プラン(当初に回帰するプラン?)は実際に提案されていたかもしれない。
だが、「せっかくデスザウラーに対抗できるくらい強い今の仕様を弱くするなんて!!」という意見があったのかもしれない。
こういう合理性を理解しない上層部というのは、まぁ、ままあるものだ。
特にゾイド星人の気風を思えばありそうな気がする。

そうした中で、結局は近代改修されずに時代遅れになっていったのかもしれない。
そんな風に思った。

優秀だし戦歴も見事だが渋くどこか哀愁が漂うディバイソンが大好きで、これからも考えていきたいと思う。

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