ディバイソンはなぜ旋回砲を持たなかったのか

前回のコラム(新世紀のディバイソンの事)でディバイソンが旋回砲を持たない事について書いた。
旋回砲を持っていない事が汎用性を大きく下げてしまったと導いた。

だが、ディバイソンはなぜ旋回式の砲を持たなかったのだろう。これも考える必要があると思った。
これはけっこう難しい問題かもしれない。というのも、共和国軍には理想的な旋回式の砲がある。
キャノンビーム砲だ。

これはもともとシールドライガーMK-IIの装備だったが、後に旋回する基部を付けてマッドサンダーに搭載された。
これを装備できなかったのだろうか。
「武器の共通化をしている=生産性に配慮した砲」だろうから、ディバイソンに回す分があっても良さそうなのだが。

キット的には容易に付ける事ができる。
ディバイソンの背中に走る極太パイプ、この上に一箇所ハードポイントがある。3.2mmの小型ハードポイントだ。

ゾイドには3.2mmハードポイントを太軸ハードポイントに変えるための互換パーツがある。
これは改造セットに入っていた。新世紀の「ブロックス」にも同様の互換パーツがあった。
これを使えば良い。

互換パーツを持っていなくても、これ位ならプラパイプを切って自作するのも容易だろう。
こうしてハードポイントを大型用にすると、旋回砲を持ったディバイソンは簡単に作れてしまう。

ディバイソンは、さすがにマッドサンダーには及ばないが、それでもかなりの重パワーだ。
少なくともシールドライガーよりは高い。
なので装備すれば有効だと思う。
最大出力で撃ちまくる…なんていうのは難しいかもしれないが、「群がる小~中型ゾイドを倒すのに十分な出力」程度に調整して撃てば長時間の射撃も可能だろう。

載せるだけのお手軽改造。
メカ生体時代は、上位互換機とも言うべきマッドサンダーが量産されていたからディバイソンが不要になっていたのかもしれない。
だが、機獣新世紀の時代にはこのようにすべきだったと思う。

なぜそうならなかったのか。
問題があるとすれば、ハードポイントが「極太パイプの上」という特殊な事情かもしれないと思った。

この極太パイプはパワフルさを連想させる。とてもディバイソンらしい。
一方で、構造としては単純というか、工夫があまりない感じもする。
廃熱問題を最も楽に解決した構造に見える。効率は良いが被弾を考慮していない。
兵器としてはもう少し工夫した方が良い。冷却機構を設けて内蔵化するとか、露出するにしても最小限にするとか。

それがされず単純な極太パイプ露出という構造になっているのは、やはり対デスザウラー用として急いで設計されたからだろう。

この処理が拡張性を奪ったのだと思った。
極太パイプの上に大型ビーム砲を付けようものなら冷却に悪影響が出る。
廃熱がままならなければディバイソンの動きは大きく鈍る。

もう一つ、極太パイプの上に大型ビーム砲を付けるのはエネルギー供給の面でも問題が出たのかもしれない。
つまり冷却パイプが邪魔でエネルギーが多くは送れない。せいぜい小型ビーム砲を撃つ程度のエネルギーしか無理という…。

一応、ハードポイントが付いているので拡張は可能だろう。だがこの場所の拡張は基本的には小型砲程度に限られるのかもしれない。

ディバイソンMK-IIタイプなどは長距離キャノン砲を背負っている。
実弾砲だからエネルギー供給の面では問題なさそうだが、これだけの大型装備が付いていると廃熱に影響が出たりパイプそのものをひしゃげさせそうに見える。
キャノン砲を背負ったタイプは戦場ではほとんど見かけなかった。最低限の数しか運用されていないと思う。
ディバイソンがキャノン砲を積まなかった理由はここにあるのかもしれない。

この極太パイプに由来する問題は、時間をかければ解決可能だったと思う。
ブラッシュアップの時間を長くとれば、内蔵化し拡張性をも持たせた「ディバイソン改」のようなタイプは実現できただろう。
だがメカ生体時は、当初は短期間の内にデスザウラーに対抗するという余裕のなさがそれを実現させなかった。
後期には上位版ともいえるマッドサンダーの存在がそれを実現させなかった。
新世紀時には予算の問題から実現しなかった。
そんな事情があったのかなと思った。

とても不運な機体だと思う。
しかし同時に、これは今後における拡張・強化の可能性を大いに感じさせるとも思った。
今後、ディバイソンに決定版的な近代改修型が生まれる事に大いに期待したい。

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