ディメトロドンの重さの事

こちらのコラム(電子戦機の重さ)の続き。

ゾイドの重さを一覧にして、電子戦機は重い事に気付いた。中でもディメトロドンの重さは改めて驚きだ。
驚きの156t。体格に比すれば異様に重い。

サーベルタイガー:78t
レッドホーン:94t
ジェノザウラー:112.8t
ダークスパイナー:118t
こう書くと重さが良く分かろう。

更に、
マンモス:145t
オルディオス:140t
ガン・ギャラド:155t
これらの巨大ゾイドよりも重いのだ。

ディメトロドンは超高度なレーダーを装備している。
しかも、ゴチャゴチャした外観をしている。ゲーターの発展形というよりゴルドスの系列に見える。
余談だがゲーターのスッキリ外観レーダーの発展形はゴルヘックスのクリスタルレーダーに思える。

技術としてはクリスタルレーダーのような新機軸は使用していない。
あくまで古典的な造りで、しかし出力を高める事で高性能を達したのだろう。
古典的な作りゆえに重さが極端にかさんだのだと思う。
逆に…、ゴルヘックスはクリスタルレーダーという新機軸だから重い事は確かだが極端な数値ではない程度に収まったのだと思う。

 

さて、重量を見ているとディメトロドンについて思いついた事があった。

ゾイドの気性はモチーフに由来する事が多い。
ゴルドスやゴルヘックスは草食のステゴサウルスだから、直接戦闘ではなく味方支援に使われた。
これはモチーフらしい気性だと思う。

しかしディメトロドン(生物の方)は肉食。この生物はペルム紀における最強の捕食者に君臨していた。
とすれば、本来はもうちょっと強気で直接戦闘的な仕上がりになりそうな気もする。

そうならなかった理由は何だろう。当時の帝国軍の事情を加味しつつ考えたい。

①ゴルドスに苦戦した戦訓から強力な電子戦機が欲しかった。帆をレーダーにすれば実現できた。
②電子戦用装備は重い。なんと仕上がったディメトロドンはサーベル2機分の重さになってしまった。なので、戦闘用として使う事は全くできなくなった。
という流れを想像した。

捕食者クラスの野生体だから、直接戦闘用に使うつもりがあったのかもしれない。
もちろん帆はレーダーに最適だった為、完全な直接戦闘用ではない。
理想的には、ある程度の戦闘もできる電子戦機として仕上げたかった………、のだが電子戦用装備が重すぎて無理になったのかもしれない。

ディメトロドンは、比較的装甲が厚い(ように見える)し顔がなんとも戦闘的だ。あのズラリ並んだ牙は敵ゾイドを狩る気満々だ。
これらは、初期段階では直接戦闘が想定されていたからなのかもしれない。

ディメトロドンは非力なイメージが強い。いやしかし、実はあの体格で重量156tを支えているのだから野生体の力は決して弱くはない。
速度だってあの脚で150km/hを出すのだから大したものだ。

 

もしも、ディメトロドンがもしも戦闘用として理想的に完成していたらどんなスペックだっただろう。

ここはifの世界。
レーダーが重くなる事が判明した。そこで、レーダーの搭載は諦める事にした。
こうしてディメトロドンは直接戦闘を求めた姿で完成した…。

強さはどうだろう。
軽いので、速度は180km/ほど出るだろうか。運動性も向上するだろう。地を這うように移動し敵に噛み付こう。
レーダーの重量がないので、浮いた重量を重い砲の搭載にまわす事もできる。

いや、それでも…、レッドホーン、アイアンコング、サーベルタイガーに比べればパッとしないスペックに留まる気がする。
砲を搭載する→レッドホーンやアイアンコングで構わない
速度と運動性が向上→サーベルタイガー以上ではない
決して弱くはないがパッともしない。

それなら、いっそ交戦力をなくしてでも「ディメトロドンにしか付加できない能力」を求めた方が良い。
それが帆をレーダーに改造する事だったのかもしれない。

 

ディメトロドンは改造バリエーションに以下の仕様がある。

砲撃力強化型ニ種
共にキットの箱に掲載された仕様。ただし、これらは「紹介」がされたのみで実際に運用されたシーンは確認できない。

ディメトロドンはパワーはそこそこある…のだが、電子戦用装備が重すぎてノーマル状態で既に限界近い数値に達していたのだろう。
だからこうした増設は検討されたものの実際に運用する事は難しかった。
帝国軍としては、強力なレーダーと連動した高い命中率を誇る砲撃ゾイドは是非とも欲しかった。これが実現しなかったのは無念だっただろう。
ただし、味方機…アイアンコングなどとデータリンクシステムを使って「共同」で高い命中率を実現するような事は行われたと思う。

上のニ種類はメカ生体シリーズで登場したバリエーション。機獣新世紀では、こんな改造機も登場する。

ロングレンジライフル装備型
大型砲だが、メカ生体のに比べればやや小型だ。これはかつての経験を元に軽量化が進められた結果だろうか。
ただし、こちらも設定は「西方大陸戦争でゴルドスが長距離砲による高い戦果を挙げた事から検討された」とされている。
結局のところ、採用されたかどうかは分からない。

改造バリエーションにはこのようなものもある。

こちらはメカ生体バンのキット箱に掲載された仕様。
対空ミサイルを満載した仕様だが、背中の帆はレーダーではない。単なる「ミサイルを設置する台」になっているようだ。
強力なレーダーと連動した対空ミサイル……ではない。電子専用装備はなくなっている。
「帆の形がミサイルを並べやすかった」という事で改造された仕様のようだ…。

電子戦用装備を撤去した為、重量は飛躍的に軽くなったと思う。
だからこそ、これだけの量のミサイルを満載できたのだろう。

もっとも、この仕様も箱に「紹介」されたのみで実際に運用されたシーンは確認できない。
対空ミサイルを撃つ仕様としては最適だと思う。レーダーの撤去は痛いが、そこはノーマルタイプと共同で運用しよう。データリンクシステムで高い命中率を得る事もできよう。
だが、何らかの事情で大々的には運用されなかったのだろう。

 

やはりディメトロドンはあの時代の帝国軍が運用するゾイドとしてはノーマルタイプが最高だったのだろう。
後方支援に留まったのは捕食者たるディメトロドン野生体としては不満だったかもしれない。
凶暴な頭部デザインはその無念の表れなのかもしれない。
今回このように考えて…、実は子供の頃からあの頭部は「デザインとして好きだが支援用で弱いゾイドなのにアンバランスだな」と思っていた。
その事に対して、そうなった背景を想像できたから「アンバランスだからこそより魅力的」と思えるようになった。

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