Zナイトの中のゾイド

前回のコラム(オーガノイドとゾイド)で、Zナイトに大きく触れた。
その中で気になるフレーズが出てきたと思う。
「Zナイトの劇中にはゾイドは割と普通に出てきている」と書いた。
前回は出てきたという事実のみを紹介して、その後はさらっと流した。
今回は、これを詳しく紹介してみたい。

 

まずこちら。

黒いデス・キャットが「パンサー」の名で呼ばれてZナイトと行動を共にしている。
…こっちの方が暗黒軍っぽいカラーに見える…。

これは序盤のエピソード。
このエピソードは森に潜む「魔王」と呼ばれるメカ獣をZナイトとパンサーが倒すという内容だった。
「魔王」はガン・ギャラドだった。

本エピソードは「特別編」というていで掲載されていた。
なのでZナイトの正史として含めるかが微妙な所ではある…が、個人的には含めて良いと思っている。

ところで、デス・キャットはメカ生体ゾイドで初登場した際は名前がまだ決定しておらずパンサーと呼ばれていた。

その仮称がここで活かされたのは面白い事だ。

デス・キャットやガン・ギャラド。これらメカ生体ゾイド末期のキットは、Zナイトが展開していた当時はまだまだ玩具屋の店頭在庫として残っていた。
現在は店頭商品の回転は早く、売れ残った商品は即座に撤去される・そして最新玩具に更新されるようになっている。
だが90年代中頃までは、売れ残った商品は値下げしつつ売れるまで気長に置いておくような店も多かった。
個人経営の玩具屋がまだ多くあった時代だからでもある。
ともかく、この時期はまだ末期ゾイドを手に入れる事は容易だった。だからこうして登場する機会を得たのだろう。

 

次、これは有名だと思う。

物語の中盤でシールドライガーMK-IIが登場する。
Zナイトがギルガの不意打ちを受けてピンチだ! という所で突如として登場。ギルガに挑んだ。
格闘戦で優位に戦いを進めるも、防御力とパワーで勝るギルガはダメージを無視して反撃に転じる。
結果、シールドは無残に引き裂かれたのであった…。


シールドを見ると、中央にコアが入っている。
作中でも、「謎のメカ獣の中から、なんとメタルハートとそっくりなものが飛び出してきた」との記述がある。

コアはZナイトと融合する。そしてZナイトに新たな武器を授けた(胸部から大型砲が生えてきた)。
これにてZナイトは反撃に転じ、ギルガを無事に撃退したのであった。

「ゾイドの中にコアがある」
Zナイトは思ったよりもずっと色濃くゾイドの設定を受け継いでいて、シリーズの繋がりを意識した構成をしているのかもしれない。

ただこのシールドには大きな謎があって、出現時の描写が…、

このように空に穴が開いて突如として現れている。ワームホール(ホワイトホール)だろうか…。
最後まで「なぜ現れたのか」「いかにして現れたのか」は明かされなかった。
コアが融合して新たな武器を授けた事といい、この一連の描写はまた別に考える必要がある気がする。

まぁ、謎を残しつつも次に進もう。

 

次、これは最終決戦時のキングゴジュラス。
最初は恐竜のような姿で出現した。

次に、攻撃を受け、光を放ちながら「ゴジュラス」の姿になる。


そしてその後に「キングゴジュラス」の姿になって大暴れを開始。

 
野生体→ゴジュラス→キングゴジュラス へと変化しているようにも見える。
野生体はちょっと生っぽすぎるけど…。
変化が一瞬なので、エヴォルトのようでもある。
前回、「キングゴジュラス=オーガノイドシステムで進化したゴジュラス」の説を出した。実はこの描写を見て導いた部分もあった。

劇中で恐竜の姿は「偽装」という解釈をされている。
最初は恐竜だと思わせて油断を誘い接近させる。接近させたところで真の姿を出し一気に殲滅する。
だが、そうであれば恐竜の下からキングゴジュラスが出るはずだ。
わざわざ「ゴジュラス」という中間形態になる必要は全くない。
にもかかわらずゴジュラスを経てキングゴジュラスになっているのだから、これはもう何か意味があるのではと思ったのだ。

 

「キングゴジュラス=オーガノイドシステムで進化したゴジュラス」の説は、「なぜ、より強いマッドサンダーにオーガノイドシステムを搭載しなかったのか」という疑問が出ると思う。
わざわざゴジュラスを選んだ理由とは? より強いゾイドを選ばず、この時代においてはそんなに強くもないゴジュラスをなぜ選んだ?
マッドサンダーはゴジュラスより強い。そっちにオーガノイドシステムを積めばより強いゾイドが誕生したのでは。
それは、オーガノイドシステムが「戦闘経験を積んで、その結果として自己進化をする」という部分が重要だ。

ゴジュラスは古い機体。アーリータイプは地球人来訪(ZAC2029)より前から登場していた。
仮に2020年とでもしておこう。暗黒首都攻略作戦がZAC2055年なので、35年分の運用データがある。
しかも、本機特有の事情として
「最初はノロマだった」
「地球人による強化で俊敏に生まれ変わった。格闘戦で無敵時代を築いた」
「砲撃で撃破された」
「自身も砲力を加えて強化された」
ような、極めて濃い歩みを経ている。改造ゾイドもありとあらゆるタイプが造られた。

対してマッドサンダーはZAC2048年完成。暗黒首都攻略作戦までには7年目分の運用データ。これはゴジュラスの1/5でしかない。
しかもマッドサンダーは対デスザウラー用特化機であり、想定通りの運用をされた。その後、ギル・ベイダーには有効な反撃があまりできなかった。
ゴジュラスが技術進歩や戦況に対応して常に変化し続けた(経験を多く積んだ)事と比べれば、進化に活かせるデータは極めて少ないと言える。

だからこそゴジュラスが選ばれたというわけだ。
緒戦から参戦し数々の経験を積みながら一線に立ち続けたゴジュラスだからこそ、その偉大なる経験を元に進化できた。
新鋭機では為しえない、ゴジュラスだからできた事だ。

もしも同様の強化が見込める機体があるとすればレッドホーンかアイアンコングか…。
だが両機もゴジュラスほどの多彩な経験はないと思う。やっぱりゴジュラスは偉大なゾイドの顔だと思う。

 

ゴジュラス→キングゴジュラスという変化。これはありえない程の強化と言える。
だが、これはぜひともプッシュしたい説だ。
こうすると夢が広がると思う。

誰しもが、自分の好きな機体に「最強」を与えたいのではないではないだろうか。
悲しいかな、ストーリーが進むにつれ次第にその機体は敗北シーンが増えるようになる。
それはそれでいい。苦戦ながらも最前線で戦い続ける姿は魅力的だ。だが、やっぱり再び最強の二文字を与えたい時もあると思う。

今回の妄想にのっとれば、戦闘経験を積ませてオーガノイドシステムで強化すれば、ゴジュラス→キングゴジュラスのような強化だって可能になる。
経験は「運用期間」でもあるが個々の戦闘における「濃さ」でもあると思う。

「真」の方のデススティンガーは公式ファンブック2巻で大暴れをした。もしかするとあの瞬間においてはキングゴジュラスに匹敵する能力さえ出していたのではないか?
交戦したブレードライガーやジェノブレイカーも本来のスペックからは考えられない向上をしていたのではないか?
そんな風な想像さえできるようになるかもしれない。
これは実に夢が広がる事だと思う。

そんなわけで、今回はZナイトの描写を紹介しつつゴジュラスとキングゴジュラスを補足してみた。

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