レッドホーンの箱

ロングセラー。それは同じ商品が長期間に渡って販売され続ける事。
メカ生体ゾイドでは、レッドホーンがこれに該当すると思う。

レッドホーンは1984~1989年に販売されている。実に5年ほど。
この間、ずっと再生産が続き玩具屋の店頭に新品が並んで居たというのは凄い。

他にも、たとえばゴジュラスだって1984年の初登場から最末期まで販売され続けた。
だが途中で「MK-II」にモデルチェンジしている。厳密に言うと全く同じ仕様のまま販売され続けたわけではない。

さて、そんなレッドホーンの箱がうちに二つある。
これがどうも前期タイプと後期タイプのようで、比べると微妙な違いがあった。
今回はそれいついて書いてみたいと思う。


左が前期型、右が後期型。基本的には同じものだ。
外観から違いを見つけるのは難しい。


裏面も同じ。


側面も同じ。

ところで、レッドホーン箱の各面の写真を比べると面白い事に気付いた。

一見、全て同じ写真が使われているように見える。
だがよく見ると少し違うようだ。
口の開閉状態に注目。基本的には閉じ状態が使われているが、側面の一部では開き状態になっている。

微妙な差だなあ…と思う。
せっかく別の写真にするのなら、もっと一目で分かるくらい変えたら良いのに。なぜこのような微妙な間違い探しレベルの変化に留めたのだろう。

というか、レッドホーンの箱の写真は正直に言ってあまり良いアングルで撮られていないと思う。
なんというか妙に頭でっかちに見えるアングルというか…。あと尻尾が見えないのも良くない。
ダーク・ホーン、あるいは新世紀版の方が良いアングルをしていると思う。


特に新世紀版のアングルはカッコ良さや巨大感や重量感が絶妙に出ており秀逸な角度だと思う。

…話を戻す。
前期型の箱と後期型の箱。
外観からは差が見つけられない。いやしかし、開けたら違いが見えてくる。


まず、紙質が明らかに違っていた。
前期型はボール紙、後期型はダンボールになっているようだ。
(ダンボールとは真ん中に波状の紙が入っている紙の事。ボール紙はただの厚い紙)

ボール紙に比べてダンボールは軽くて頑丈、しかもクッション性が高い。なので途中から改定されたのだと思う。
ただし具体的にいつから改定されたかまでは分からなかった。今後において解明していきたいと思う。

なお、大型ゾイドの箱材質はレッドホーンの様に「初期:ボール紙から後期:ダンボール」に変化している。
しかしダンボールが採用されたのは大型ゾイドのみで、ゼンマイゾイドなどはボール紙が最後まで使用されている。
この辺はコストの問題だろうか。

また”ベロ”が付いているのも後期型の特徴だ。これによって少しだけ開けやすくなっている。

キット内容は一切変化していない。しかし箱に関していえばわずかに変化していたようだ。
より良い製品にするべく努力がされた事が伺える。

機獣新世紀ゾイドの箱も、よく見ると生産時期により一部レイアウトに変更が行われているものもある。
ただし、こちらは主に玩具安全基準法の改定で注意書きの欄を拡大する必要が出た事に由来する変更であった。
ちょっと世知辛さを感じてしまう改定だ。

ところで、レッドホーンの箱でもう一つだけ違う所があった。

「ゾイド レッドホーン 内地」
後期型にのみタグ部分にこんな標記が付いている。

これは何だろう。
結論から書くと、多分これは海外に輸出するレッドホーンと区別する為のものと思われる。
メカ生体ゾイドと同時期、イギリスやフランスでもゾイドは展開されていた。

こちらはフランス版のゾイドカタログ。
レッドホーンは日本版と同じ色で売られていたので、間違えないようこのような表記がプラスされたのだと思う。
未確認だが、もしかすると海外用のレッドホーンには「外地」と書かれているのかもしれない。

しかし「日本」じゃなくて「内地」というのは何か良い。
戦時中、日本本土の事を内地と呼んだそうだ。
ここからゾイドバトルストーリー的に解釈してみても面白い。

これは「暗黒大陸で生産されたレッドホーンであり、中央大陸(帝国軍)に納入されたレッドホーン」という解釈が成り立つと思った。
第一次中央大陸戦争に敗北したゼネバスは、暗黒大陸で軍備を再建した。
その頃から「暗黒大陸で生産された帝国ゾイド」というのは存在しただろう。
暗黒大陸で製造されるレッドホーン、その内の中央大陸に納入される分には「内地」という分類がされホエールカイザーなどに積まれ運ばれてゆく。

「内地用」とわざわざ書かれているという事は、外地用すなわち暗黒大陸に留まるレッドホーンも存在したという事になる。
暗黒軍にもある程度の数のレッドホーンが納入されたのだろうか。

この時期、既にレッドホーンは強いゾイドではなかった。コングやサーベルの遥か後塵を拝していた。
軍備再建に力を貸してくれた暗黒軍に対し、ゼネバスは礼をする必要があっただろう。
そこでレッドホーンの一部を贈ったのかもしれない。
この時のレッドホーンが暗黒軍用装備として運用され、そして徹底的に研究されて後のダーク・ホーン開発へと繋がって行ったのかもしれない。

と、箱一つから想像がふくらんできた。

ゾイドの箱は本当に魅力的だと思う。
正面にカッコいいゾイドのジオラマが載っていて、側面や裏面にはスペックや設定や活躍想像図が載っていてワクワク感が半端ない。
いつまでも眺めていられる。
前期型と後期型の、細かい………言ってみればごく一部のマニア以外から見れば”どうでもいい”ような変化からも無限の想像をしてしまう。
そうせずにはいれない魅力がある。
今後「ゾイドの箱」を全てカタログ化したような本が出れば嬉しいのになあと強く思う。

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