拠点防衛におけるデスザウラーの運用実績

本コラムは前回(拠点防衛におけるデスザウラーの価値を語る)の続きになっているので先に読まれたし。

さて、前回はデスザウラーの拠点防衛力を考えた。
今回はその肉付けとして、拠点防衛にデスザウラーが運用された実例を振り返ってみたい。

デスザウラーが拠点防衛に使われたのは大きな事例は4つあったと思う。
一つずつ見て行きたい。

1つ目はゾイドバトルストーリー3巻に収録されているゲルマンジー上陸作戦

共和国軍は中央山脈への進出を計画した。ゲルマンジー半島から上陸し、そこから山を制覇する目標を立てたのだ。
ゲルマンジー半島の位置は下の通り。

共和国軍は、上陸に向けて大輸送船団を編成した。

共和国軍はこう進みたかった。

だが帝国軍は迎え撃つべく上陸を迎え撃つべくデスザウラーを配置した。
この場合、輸送船が上陸を目指そうものなら荷電粒子砲を浴びて沈没する事が避けられない。

前回にも出したこの図を思い出されたい。

その威力と範囲を思えば複数の輸送艦を一気に沈める事すら可能だろう。

輸送船は膨大な数のゾイドや兵を抱えている。一隻でも沈めば大きな戦力損失となる。
しかしデスザウラーが居る限り、一隻どころか複数が高い確率で沈む。

ゲルマンジー上陸作戦で、共和国軍は囮部隊を使ってデスザウラーをディエップ半島におびき出した。

ゲルマンジーから離れた対岸にデスザウラーを上手くおびき寄せ、その隙に本体は対岸に上陸した。
さすがの荷電粒子砲でも対岸におびき寄せられては射程を超えてしまい効果が発揮できない。

この時、デスザウラーの数は1機だった。にもかかわらず、ヘリック大統領によれば「デスザウラーを排除しなければ、ゲルマンジーは我が軍の墓場になる」であった。
その言葉は誇張ではなく、荷電粒子砲の超絶な有効性に由来する真実なのだろう。

 

2つ目はゾイドグラフィックスvol.15に収録されているオベリア平原の戦い

第二次中央大陸戦争末期、帝国と共和国はオベリア平原で決戦をした。
この戦いは、帝国にとってはこれ以上後ろには引けない背水の陣であった。
共和国としては、ここに勝てば趨勢を決める決戦であった。

ゾイドグラフィックスvol.15によると、この戦いに負けたことでゼネバスは敗戦を悟った。
これはオベリアの後にはウラニスク工業地帯があるからと思われる。

この戦いで、帝国軍はやはりデスザウラーの荷電粒子砲で共和国軍を狙ったと思う。
大部隊を一気に倒し戦いに勝利・共和国軍を山脈の向こう側に押し戻したかっただろう。
だが、マッドサンダーにはね返され力を発揮できなかった。
この戦いの時、「マッドサンダーの数>デスザウラーの数」だったのだろう。

共和国軍がマッドサンダーを完成させたのはZAC2048年。オベリアでの戦いはZAC2050年。
はやく帝国に攻めたい。だがマッドサンダーの数が揃わない事には荷電粒子砲を受けて全滅が必至…。
なので量産し数が超えるのを待ったという事情があったのだと思う。

この戦いはマッドサンダーを前面に立てた事で共和国軍は大勝利を得た。

 

3つ目は新ゾイドバトルストーリーに収録されているニカイドス島の防衛

デスザウラー部隊は海岸線に配備され荷電粒子砲を撃つ態勢をとっていた。
ゲルマンジー上陸作戦と同じく、共和国軍にとってやっかいな状況だった。
いや、今回はデスザウラーは複数。だから囮部隊を使っておびき出す…なんていう事も難しかった。

また今回はマッドサンダーは使えない。なぜならマッドサンダーは陸戦用ゾイドであり泳げないから。
応急的に海戦タイプに改造したとして、泳ぎながら荷電粒子砲を受け止められるだろうか。
もし受け止められるとして、踏ん張りが利かないので遥か彼方まで押し流されそうでもある…。

だから、共和国軍は「ビッグマザー」による上陸を行った。
ビッグマザーはウルトラザウルスをマッドサンダー積載用に改造したゾイド。
腹部にマッドサンダーを積載し、海を渡って上陸する。

共和国軍が輸送艦での上陸をしなかったのは、一隻でも艦を沈められれば一気に戦力が減るからだろう。
ビッグマザーを運用すれば、
①船よりもはるかに小さな艦影なので当たる率が低い
②各機がバラけて突入すれば数機が沈められても被害は少ない(艦が沈むのと違って、そのゾイドだけが沈む)
③上陸したらすぐさまマッドサンダーを展開させる=デスザウラーの駆逐ができる
という計算があったと思う。

マッドサンダーがデスザウラーを倒した後に、共和国軍はニカイドス島へ輸送艦を呼び寄せた。

そういえば、本作戦は「ウルトラキャノン砲ではデスザウラーを駆逐できない」事を改めて証明した一戦でもあった。
ウルトラザウルスが先行してキャノン砲を全力射撃。海岸線から射程限界までの敵を徹底的に破壊し無力化、その後に輸送船を呼び寄せる作戦だってできたはずだ。
しかしそれをしなかったのは、ウルトラキャノン砲ではデスザウラーを倒せないからだろう。

ビッグマザーは被害を分散する為の戦術。だがそれでもある程度の機が沈んでしまう事は避けられまい。
最強マッドサンダーが何機かはビッグマザーごと海の底に。できれば全機を無事に… というのは切なる望みだっただろう。
だがウルトラキャノン砲ではデスザウラーに勝てない。この苦しい状況からビッグマザーは造られたのだろう。

ニカイドス島の防衛でデスザウラーは目立った活躍はできなかった。だがこのようにに考えると意義は凄かったのだと気づく事ができた。

 

4つ目は、先のコラムでも紹介した暗黒首都攻略戦

この時、共和国軍の理想としてはオベリアの戦いと同じようにマッドサンダーを盾として使いたかっただろう。
こうすれば城壁を崩しつつ荷電粒子砲の脅威から味方機を守りつつ進むことができる。
もちろんこの時代だから、ギル・ベイダーやガン・ギャラドの攻撃も最善面で受ける事になる。その結果として損失数はかなりになるだろう。
それでも後続部隊を無傷で進ませる事ができる。
そしてまたこの戦いは首都攻略戦。いくら損害が大きくともこれが最後の戦い。もはや後の事はさほど気にしなくても良い。

だが、マッドサンダーが激減した状態では実現できる筈がなかった……。
なのでオルディオスを使用した「いくぶん非効率だがそれ以外に策がない」空からの攻撃に戦術を変えたのだろう。

この4例を見ると、デスザウラーが重要な局面で常に防衛の要として運用された事が分かる。
後期には黒星も増えたデスザウラーだが、やはりその存在感は格別だった。
こんな事ができるゾイドは他にいない。
ギル・ベイダーは強いが敵部隊を一気に殲滅させる事はできない。
ガン・ギャラドのハイパー荷電粒子砲でも厳しいだろう。形状を見る限り面を制する装備ではないと思う。
強いて言えばデス・キャットの超重弾砲なら可能かもしれないが、これはほとんど未完成のようなものであった。

 

共和国軍にも同様のゾイドは居まいか。
ウルトラキャノン砲やゴジュラスキャノン砲は、

こんな感じだろう。
高威力だし対部隊用としてはビームスマッシャーより価値が高い。だが荷電粒子砲には及ばない。

ただ新世紀改造型”ウルトラザウルス・ザ・デストロイヤー”の1200mmなら、

こんな感じかもしれない…。この砲、強すぎる。
ただしこれは撃つとウルトラザウルス自身の寿命さえ縮める装備なので、特殊装備の範疇は超えない。
(メカ生体時代ならウルトラザウルスが腐るほどあったので使い捨て運用もされたかもしれないが…)

ただ唯一、ガンブラスターは荷電粒子砲に近い事ができるかもしれない。前方をまさに殲滅できる。
ただガンブラスターの砲は「3000連発」の愛称がある。また「1秒に1000発撃てる」との設定もある。
「全力で射撃をすれば3秒程度でエネルギー切れを起こす」のだと思う。あのサイズであの威力を出す裏にはこのような仕組みがあった。
(もちろん威力を抑えながら撃てば長時間の射撃もできると思うが、その場合は「敵を一気に殲滅」とまではいかない)

 

やはり総合的にデスザウラーを越える拠点防衛力を持つゾイドは共和国に居ないと思った。
かなり後発のゴジュラスギガはデスザウラーと互角に戦える。だが通常火器がない等のアンバランスさも目立つ。拠点防衛でも使い辛い。
単純な強さはともかく兵器としての完成度の高さでは及んでいないと言えるかもしれない。

第二次中央大陸戦争中期に登場したゾイドでありながら、大陸間戦争末期にも最高評価を得たデスザウラー。
考えれば考えるほどあっぱれだ。

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