共和国フラッグシップの実力

フラッグシップは「旗艦」を表す単語であり、転じてそのグループ内の象徴的な存在を表す言葉として用いられる。
「象徴」
メカ生体ゾイドにおける共和国軍であれば、それは間違いなくゾイドゴジュラスシリーズだと思う。

ゴジュラスといえば、いわずもがな共和国軍最強のファイターであり、登場から永らく無敵時代を築いた。
また、その後は改良を重ねながら、共和国軍大型ゾイドの主力として一線に留まり続けた。
しかしながらその実際の能力には疑問をもたれる事も多い。

まぁ常識的に考えると「役に立つ」という結論には達しにくいと思う。
中でも「巨大であるから見つかり易い」というのは致命的であると思う。
あまりにも隠密性が無く、これでは味方位置を敵に知らせながら行動するに等しい。

しかしゾイド史を読み解くと、不思議な事にゴジュラスは常に前線で活躍を続けている。
ここでは、なにゆえにゴジュラスは共和国軍のヒーロー足り得たかを考えてみたいと思う。

ゾイドゴジュラスMK-II(量産型)
全長:34.6m 全高:21.0m 全幅:14.0m  重量:265t 最高速度:70km/h
ZEP:攻撃力42+防御力33=総合力75 乗員:1人

武装:
 長射程キャノン砲X2 4連速射砲×1 76mm連射砲X2 パノーバー20mm連装対空ビーム砲X2
 マクサー30mmビーム砲X2 赤外線レーダー 3Dレーダー etc.

ノーマルタイプは共和国最強ゾイドとして登場し、帝国軍を圧倒し華々しい活躍を続けた。
アイアンコングの登場で劣勢に立たされるが、その後長射程キャノン砲を装備し、再び優位を確保する。
以後、キャノン砲はゴジュラスの標準装備となり、量産化される。

画像は、おそらく全ゴジュラスシリーズ中最も量産されたであろうMK-II量産型。
活躍の場はノーマルタイプや限定型ほどクローズアップされる事は無かったが、
防衛や侵攻において必ず同機が写っている事から、共和国大型ゾイドの主力であった事は疑いようが無い。

言うまでも無くゾイドはゾイド星最強の兵器であるが、実際、何故最強兵器となったのだろう。

資料を解析すると、ゾイド星にも車両が存在している事が分かる。
また、履帯(キャタピラー)の付いたもの(グスタフのトレーラーや工作機械等)も登場しているので、ゾイドに使用されているテクノロジーと併用して考えるに、少なくとも陸上兵器に関しては、地球同様かそれ以上のものが作れると考えるべきだろう。

それらを退けゾイドが最強兵器足り得た最大の理由は、ゾイドが生体兵器である事にあるように思う。
無生物たる純メカであれば、パイロットが操縦しない限り攻撃も回避もしない。
しかしゾイドはその双方が可能でると考えられる。

しかも、彼らは人間よりずっと原始的な本能を備えている。
いわゆる第六感的なもの…、これによって回避の際に命拾いするような事も多いのではないだろうか。
攻撃する場合も、発見した瞬間同時に動く事が可能、つまりタイムラグがない。
全く無駄の無い戦闘が可能である事は、圧倒的強みになるのだろうと思う。

加えると生体であるから学習型であるかもしれない。つまり以前の戦闘が記憶として残る。
であるならば、歴戦のゾイドであるほどに強力になるのだろう。
以上のような事が、ゾイドを最強兵器たらしめた要因であると考えたい。

ではその最強兵器ゾイド中で、ゴジュラスの位置付けはどのようなものだろう。

思えば、ゾイドは非常に不思議な発達をしている。
ゴジュラス、ウルトラザウルス、マッドサンダー、キングゴジュラスと、どんどん大きくなっている(ウルトラとマッドは似たような大きさだが、マッドの方がかなり重い)。
これは常識的に考えるとかなり奇異である。

技術が進歩すると、より小型で、より高性能なものを作る事が出来る。
例えば、携帯電話など初期のものはランドセルのように背負うものであったが、いまやポケットに入る上に電話に加えメールやネット、カメラに辞書…、 ほとんどパソコンのような高性能化を果たした。
それは兵器にしても同じで、例えば第二次大戦の戦艦「大和」に搭載されている3連装46cm砲は、砲塔重量が2500t以上で射程距離は42kmを誇る。
現代兵器の海上自衛隊イージス艦「あたご」に搭載されているMK41ミサイル発射機は、64連装でより軽く、使用するミサイルの種類によっては3000kmもの遠方を攻撃できる。
その上ミサイルは敵を追尾する事も可能なので、命中率でも格段の向上を達成している。

何故、ゾイドは最後まで大型化を続けたのだろう。
まぁ、大型化にはメリットも存在する。
例えばより多くの火器を搭載出来るだろうし、ゾイドであれば大きいほどより強いパワーを与える事も出来るだろう。
ただ、あまりにも大型化し「発見されやすい」「被弾率を上げる」ようなデメリットを背負うほどのものではないとも思う。

しかしそれもまた、ゾイドが生体兵器である事に回答を得られるように思う。
つまり、例えば、我々がもし巨大な怪獣に出会ったらどうなるかと想像してほしい。
恐らくは何も出来なくなるか、あるいは出来たとして逃げ惑うだけだろう。
それがゾイドにおいても有り得ると考えれば解決すると思う。
敵陣に巨大で圧倒的パワーを持つゾイドが居る事が判明すれば、それだけで浮き足立つのは兵ばかりでなくゾイドでもあると考える。

 小型ゾイドから見たゴジュラス。この状況でひるむなというのは無理がある。

加えて、ゾイドが学習型メカであったならという仮定を先に書いたが、それが正しいとすれば、巨大ゾイドと対峙した時のゾイドには、過去の恐怖心もまた投影されるのではないかと思う。

 ゴジュラスから見た小型ゾイド。この状況なら、実際の実力差以上に余裕を持って戦えるだろう。

少し話が逸れるが、ゾイドは歴代最強メカが交代する毎(例えばデスザウラーからマッドサンダーへ)に戦局が一気に逆転する。
それは最強メカの力でもあるが、「先代最強メカが正面から倒れる姿(例えば今まで無敵だと思っていたデスザウラーは決して無敵ではない)」を知った事により、
浮き足立った姿勢に歯止めがかかった為…、それ故に一気に反抗してゆけたのではないかと思う。
つまりメカ生体であるが故に、ゾイドは最強ゾイドがそこに居るだけで、敵兵や敵ゾイド共に浮き足立たせる事が出来、なおかつ味方の士気をそうとうに上げる事ができるのだと考える。

しかしながらこれは正面切っての会戦に限定される話であって、例えば奇襲戦等においては、隠密の無い巨大ゾイドは発見されやすく、役に立てないだろう。

このように考えていくと、暗黒軍のゾイドは非常に合理的なゾイド開発をしている。
ギル・ベイダーを除き巨大ゾイドは開発されておらず、むしろ「より小型のゾイドにより強力な兵器を」というコンセプトで開発されている事が伺える。
例えばデッド・ボーダーは、大きさ的にはシールドライガー級であるが、装備された兵器“重力砲”はウルトラザウルスやデスザウラーを一撃で仕留める。
ガル・タイガーは中型ゾイドでありながらあの荷電粒子砲を装備しているし、その究極はデスキャットに搭載された超重力砲だろう。

 暗黒ゾイドは体格に比して強力な射撃兵装を持つものが多い。

格闘戦を避け、火力のみでアウトレンジから倒せるのであれば、あとは隠密性等のために小型化を推し進めれば都合が良い。
火力で対抗するならば、巨大ゾイドと遭遇しても格闘戦ほど動揺はするまいし、倒せる事さえ証明できればその動揺は完全に無くなる。
おそらくそうやって、小型化と超兵器化を進めながら暗黒軍は戦ったのだろうと思う。
実に合理的な事だと思える。

しかしながらゾイド史は違う答えを言う。
合理的な進化を進めた暗黒軍ゾイドであったが、戦局を変えたのはやはりギル・ベイダーやキングゴジュラスといった巨大ゾイドだった。

それはやはり合理性という言葉では説明しきれない生体兵器ゾイドゆえのものなのだろうと思う。

そういった意味で言うと、ゴジュラスは、様々な問題はありつつも、やはり共和国軍のフラッグシップとして相応しいスーパーヒーローなのだろうと思う。

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